
「安月給なので転職を考えている」 「もう何年も勤めているのに年収が数年前と変わっていない」
このように給料に不満を持っている人へ、年収って業種と職種で決まるということを知っていますか?
このことを知らないと、
- 仕事をがんばっているのに給料が上がらない
- これだけ成果を上げているのに…
- うちの会社はダメだな
など不満の原因になってしまいます。
ほんと努力や成果だけではどうにもならないんですよ。
こちらの年収を200万円上げた方法でも少し触れたのですが、年収を上げたいのなら、まずは希望の年収に届く業種や職種について知っておきましょう、という話です。
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だいたいの年収って業界や職種で決まっているんです
これから就職する、転職するときに年収にこだわるなら、業種や職種によってもらえる年収はある程度決まっていることを知っておきましょう。
このことは経営難に陥っていたUSJをV字回復させた森岡毅さんも自身の著書でおっしゃってます。
例えば、飲食業と産業廃棄物処分業では元々もらえる給料がぜんぜん違います。また職種においても、事務員と営業では基本給が10万円くらい差があったりしますからね。
ではなぜこのように業種や職種で年収に差があるのか?
それは「付加価値」です。
例えば、職種に関していうと、電話番や伝票を入力するだけの事務よりも仕事を取ってくる営業のほうが、お金(価値)を生み出しているわけです。
営業が仕事を取ってこないと伝票の入力作業すらないわけですから。
だから付加価値をより多く生み出しているほうが、年収が高い傾向にあるのは当然のことなんです。
ではその付加価値を元に、業種によってどれくらい年収の差があるのかご紹介しましょう。
参考とするデータは、会計ソフトでおなじみのTKCがホームページで無料公開している中小企業の決算書を基礎データに集計したTKC経営指標(BAST)を元にします。
以下のTKCサイトの下のほうにある要約版・速報版から見ることができます。
参考元: TKC経営指標BAST
そば・うどん店で働いた場合の年収

BASTの表にある「宿泊業・飲食サービス業」のなかの「そば・うどん店」を例に見てみると、「1人当りの限界利益(付加価値)」の項目は年間で約340万円となっています。
※現時点でのデータなので変動はあります。
1人当たりの限界利益(付加価値)とは、付加価値を従業員数で割った数値です。
つまり表にある、そば・うどん店の従業員1人が生み出す付加価値は、年間でおよそ340万円と試算されています。
これがそのまま従業員の給料になるわけではなくて、そこから材料費や光熱費などいろんな経費を引きます。その経費を引いた割合のことを労働分配率といいます。
この労働分配率は業種によって異なりますが、平均でだいたい50~60%なので、約半分と考えたときに、生み出す付加価値が年間で340万円であれば、340万円÷2=170万円が人件費。
つまり、そば・うどん店で働いた場合の年収は、およそ170万円くらいということになります。
もちろん働く店やそこでの役割(ウエイトレスなのか調理なのかなど)によっても変わってきますが、業種としてのだいたいの年収を把握できますね。
産業廃棄物処分業で働いた場合の年収

ではもう一つ、「サービス業」にある「産業廃棄物処分業」を見てみましょうか。こちらの「1人当たりの限界利益(付加価値)」は、約1,300万円となっています。
ここから設備などの経費を引いて、約半分を労働分配率としたとき、1,300万円÷2=650万円が人件費。つまり年収はおよそ650万円になります。
先ほど飲食業のうどん・そば屋さんで働いたときの年収と比べると、170万円と650万円で全く違いますよね。約4倍もの差があります。
このように業種によって生み出す付加価値が違うので、そもそもの年収が違うということです。
努力や成果では希望の年収に届かないことはある
だからもし、あなたがうどん屋さんに勤めていて、年収500万円を希望していたとしても達成は厳しいということが分かりますよね。
このことを知らないと、「朝から晩まで真面目に働いているのに全然給料が上がらない」なんて不満を持ってしまいます。
でも会社からしたら年収を上げるのは難しいんです。だって付加価値を生み出していないので。
そして転職して年収アップしたいのなら、もともと年収の高い業種と職種を選ぶようにしたほうがいいです。
年収の高い業種と低い業種
ではどのような業種が付加価値が低い(年収が低い)のか、また高いのかBASTを元に見てみましょう。
ちなみに1人当りの限界利益が高くても、労働分配率が低ければ年収は下がります。業種だけでなく企業によっても、この労働分配率は変わってくるので目安としてご覧ください。
付加価値が低い(年収が低い)業種
付加価値が低い(年収が低い)業種を見ると、小売り、飲食サービス業などが低い傾向にありますね。
業種 | 1人当り限界利益 | 労働分配率 | 年収目安 |
新聞小売業 | 297万円 | 66.2% | 196万円 |
料理品小売業 | 342万円 | 63.1% | 215万円 |
そば・うどん 店 | 340万円 | 61.0% | 207万円 |
ビルメンテナンス | 245万円 | 73.3% | 179万円 |
労働者派遣業 | 326万円 | 76.7% | 250万円 |
警備業 | 315万円 | 76.9% | 242万円 |
洗濯業 | 418万円 | 51.3% | 214万円 |
新聞小売業 | 297万円 | 66.2% | 196万円 |
料理品小売業 | 342万円 | 63.1% | 215万円 |
織物・少女服製造業 | 342万円 | 63.1% | 215万円 |
付加価値が高い(年収が高い)業種
いっぽう、付加価値が高い(年収が高い)業種を見ると、卸売業や製造業が高い傾向にありますね。あと広告系もやはり高いようです。
業種 | 1人当り限界利益 | 労働分配率 | 年収目安 |
鉄スクラップ卸売業 | 1,238万円 | 44.4% | 550万円 |
非鉄金属スクラップ卸売業 | 1,587万円 | 44.5% | 706万円 |
計量器・理化学機器・光学機器等卸 | 1,284万円 | 49.2% | 631万円 |
鉄骨工事業 | 1,228万円 | 46.8% | 574万円 |
生コンクリート製造業 | 1,212万円 | 39.2% | 475万円 |
清酒製造業 | 1,241万円 | 36.0% | 446万円 |
広告制作業 | 1,059万円 | 52.1% | 551万円 |
広告業 | 881万円 | 55.6% | 489万円 |
産業廃棄物処分業 | 1,299万円 | 40.2% | 522万円 |
技術サービス業 | 1,009万円 | 57.5% | 580万円 |
もちろん仕事ってお金だけで決めるもんじゃなくて、そこに向き不向きややりがいなど他の要因も含めて検討する必要があります。
お金のためにやりたくもない仕事をしても長続きしませんからね。
でも逆にやりたいことや好きなことであっても、年収が低くて安月給だったらモチベーションが上がらないのも事実です。
なので、年収に不満がある、なるべく良い給料がもらえる仕事に就きたいのであれば、業種や職種によって年収の違いがあることを知っておくこと。
そして、やりがいや向き不向きと年収とのバランスを考えて仕事を選ぶべきかなと思います。
では現状、年収に不満を持っていて転職を考えている、年収の高い業界に就職したい人におすすめのサービスを紹介しておきます。
年収アップを手助けしてくれるサービス

業種、職種は説明した通りですが、そこから自分で希望の企業を探すのは大変ですし、勤める企業によっても年収に差があります。
そこを少しでも有利にするために転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントとは、求職者であるあなたと企業との間に入って転職の支援をしてくれるサービスのことです。
具体的には、
- あなたの希望や経験にマッチした求人の紹介
- 年収の交渉
- 面接や履歴書のアドバイス
など転職者にはありがたいことを無料で行ってくれます。なぜ無料かというとあなたの転職が成功すれば企業から紹介料がもらえるからです。

あなたは希望する企業で働ける、企業は求めている人材が手に入る。つまりお互いにメリットがあります。それを紹介料という形でサービス提供をしているんですね。
なので、どういった仕事がやりたいのか、どれくらいの年収が欲しいのか相談して、納得いく企業を紹介してもらってください。
ちなみに、リクナビNEXTのような転職サイトもありますが、あれって自分で求人を探すのでなかなか事が先に進まないんですよね。
なので、より本気で年収を上げたいなら転職エージェントを活用したほうが良いです。
具体的にはこのような違いがあるので、希望する条件の企業に出会える確率も上がりますし、スムーズに転職活動できますよ。


求人の紹介や履歴書の書き方、面接のアドバイス、年収の交渉などさまざまな転職支援を無料でしてくれる転職エージェントの紹介です。
よくある質問や各エージェントの特徴についてまとめています。エージェントによって扱っている求人数や業界に違いがありますので、自分の希望する業界や職種に合わせて選んでみてください。
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