写真: 高千穂町観光協会
私の住む宮崎県の高千穂郷・椎葉山地域が世界農業遺産に認定されました!
宮崎県民にとっては非常に嬉しいニュースです。
でも世界農業遺産という言葉自体あまり聞き慣れませんが知ってます?
正直私は詳しくは知りませんでした・・・
なのでそれって何がすごいの?と思われるかもしれません。そこで高千穂郷・椎葉山地が認定された世界農業遺産とは一体何なのか?
また認定された高千穂郷・椎葉山地域の魅力もご紹介します。少しでも多くの方に宮崎にこんな所があるんだと知ってもらい、これを機にぜひ遊びに来てもらうきっかけになれば嬉しいです。
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世界農業遺産とは一体なに?
まずは世界農業遺産とは何なのか簡単にご説明します。
よく社会の授業でWHOとかASEANとか出てきましたよね?それと一緒に覚えておきましょうw
2002年に発足され、イタリアのローマが本部の食料の安定確保を目指す国際連合食糧農業機関(FAO)によって開始されたプロジェクトです。
日本では以下の8つしか認定されてません。
※2015年12月現在
- 石川県 能登の里山里海
- 新潟県佐渡市 トキと共生する佐渡の里山
- 熊本県阿蘇の持続的農業
- 静岡の茶草場農法
- 大分県国東半島・宇佐の農林水産循環
- 岐阜県の長良川の鮎
- 和歌山県 みなべ町・田辺市の梅栽培
- 宮崎県高千穂郷・椎葉山の山間地農林業
参照元: 農林水産省
なので今回の宮崎県高千穂郷・椎葉山の認定ってすごい事なんですよ!
その世界農業遺産は一体どんな目的のために発足されたかたというと、近年では技術の発達や環境の変化で農作物や農法も大量生産などに変わってきています。
昔ながらの伝統的な農業ってだんだんと失われつつある中で、昔と変わらない農法や土地、その環境、景観を後世に残こしていこうというのが世界農業遺産の目的です。
では高千穂郷・椎葉山地が世界農業遺産の認定を受けたということは、後世に残していくべき農業や伝統文化があるということですが、それが何なのかご紹介しましょう。
高千穂郷・椎葉山地が認定を受けた農業システムと伝統文化
まず高千穂郷・椎葉山地は
- 高千穂町(たかちほ)
- 日之影町(ひのかげ)
- 五ケ瀬町(ごかせ)
- 諸塚村(もろつか)
- 椎葉村(しいば)の5つの町と村で構成されている地域です。
これらの地域で今も変わらず続いている農法や伝統の文化を紹介します。
諸塚村のモザイク模様になる森林の保全管理
写真: 諸塚村
世界農業遺産の認定を受けた諸塚村は、平地が少ない地域で昔から山林の木を切って生活してきました。
当然、木を伐採するといずれ無くなってしまうので、伐ったら植えるを繰り返します。そのため、諸塚村の山林は人工林率が高いんです。
でも平地が少ない土地のため、木を切ることは致し方ないのですが、そのまま植えていたのでは森ももちません。
そこで、植樹する場合も単に樹種を一斉に植えるのではなく、土壌や地形等を考慮して、その土地に合った樹種を選択するなど工夫されています。
そして樹の種類も針葉樹と広葉樹の割合が7:3になるように森を活かす施策をとっています。
これは先人の知恵でその割合にすることで、水質保全と動物達が住みやすい環境機する役割を持っているそうです。
その結果、諸塚村の森全体に様々な木々が混在し、山々がモザイク模様に見える美しい景観を生み出すようになったんです。
生活に必要な木を切る。そして植える。森を無くさないために単に植えるだけでなく考え抜いた結果が森を存続させ、また美しい景観も作り出しているんです。
椎葉村の伝統的な焼畑農業
写真: 椎葉村観光協会
焼畑農業とは森林や原野の草や木を切って、それを燃やした灰を作物の肥料にして栽培する農業のことです。
もしかすると社会の授業で習ったかもしれません。
ソバやヒエ、アワなどの雑穀を作られており、今でもそれらの食材を使った料理が食べられます。
日本で唯一、縄文時代から続く伝統的な焼畑農法を守りつづけているのがその椎葉村なんです。
日本の棚田百選にも選ばれている高千穂の棚田
写真: 高千穂町観光協会
棚田とは傾斜地に作られた水田のことです。
非常にきれいで「THE 日本の風景」といった感じです。
しかし傾斜地に作られているため管理が非常に大変で、農家の高齢化等で年々その数も減ってきているそうです。
全国に棚田はありますが、高千穂は棚田百選と世界農業遺産に選ばれた貴重な水田です。
私も車で高千穂に行く際はよく見てますが、絶景ですよ!棚田百選に選ばれた美しい風景をぜひ見にきて下さい!
国の重要無形民俗文化財にも指定されている神楽
神楽(かぐら)とは宮崎県西臼杵郡高千穂町に伝わる民俗芸能の事です。
秋の実りに感謝して、来年の豊穣を祈願するために神様の面を被り、神楽舞を奉納します。
実は高千穂の夜神楽は国の重要無形民俗文化財にも指定されている、貴重な伝統文化なんです。
毎日高千穂神社で開催されているので是非一度見ていただきたいですね。
私の住む宮崎県は農業や家畜の盛んな県なので、近所にもたくさんの田んぼや畑、きれいな山や川があり、上記の認定された農業や景観も当たり前に見てきました。
そのためあまりそれが失われているという実感はありませんでした。
今回、世界農業遺産に高千穂郷と椎葉山地が認定されたということは、伝統的な農業や農法、景観や土地の利用も昔と変わっていないということの証明です。
私が見慣れた風景であるということはそういう(昔から変わっていない)事なんですね。
地元の人も後世に残していきたいと思っているでしょうし、少なくなりつつあるその貴重な環境を残して欲しいという機関の願いもあるのでしょう。
認定に向けて尽力されてきた地元の方達や、ローマのFAO本部で英語で高千穂の魅力をプレゼンしてくれた宮崎県知事の河野俊嗣さんと五ヶ瀬中等教育学校の生徒さん、ほんとにお疲れ様でした。
世界農業遺産認定の効果と期待すること
では今後、世界農業遺産に認定されると一体どのような効果が期待できるのか?考えられる事を書いてみます。
知名度アップによる観光誘致
まず1つ目に知名度のアップですね。それによって観光誘致につなげられるというメリットがあると思います。
昔から変わらない農業や景観を見ようと当然日本国内だけでなく海外からの観光客に対してもアピールできる材料になりますよね。
地元農産物のブランド化
地元の農産物・特産品に世界農業遺産認定と付けばブランド価値が生まれます。同じものでもそれが有ると無いとでは大きな違いです。
観光と同じで、それを食べに来たいと思う人も必ず増えるでしょう。
- 棚田で栽培した米
- 高千穂の野菜(きゅうりやトマト、なす、しいたけなど)
- 高千穂牛
- 青竹に焼酎や清酒を入れて焚火にかけたカッポ酒など
ここでしか食べられない料理、安心・安全な食品の提供が出来るアピールを日本だけでなく世界へ向けて発信できます。高千穂の有名な芋焼酎 天孫降臨もおすすめです。
地元住民が自分たちの地域の価値に気付けた
この認定に向けて準備を推し進めてきた方たちは当然その価値を世界に分かってもらうために努力されてきたと思います。
でも私も含め農業に詳しくない人たちや興味の薄い世代にとっては、それが素晴らしいことだと気づいていないんですよね。
県外から友達が遊びに来ても、うちは田舎だから来ても何もないよって思ってましたが、それこそが宝だったんですよね。
地元宮崎の人が普段から見慣れている風景って実は世界から認定されるほど価値のあるものだったと認識しました。
地元の住民にとっては当たり前の風景や食べ物が、実はすごい事だったんだなって思うことで、もっと地元に愛着や自信を持つことができます。
多くの人にぜひ知ってもらいたい、遊びに来て欲しいと自信をもってアピールできるようになります。
このように経済効果が期待できるだけでなく宮崎の価値を再認識するとても重要な認定だっと思います。
この世界農業遺産の認定を有効に活用し、宮崎発展のためになれば良いなと思います。そしてこの素晴らしい景観や伝統の文化を体感しに遊びに来てください。
紹介したもの以外にもまだまだ沢山おすすめの観光スポットがありますのでご紹介します。
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