数年前からサラリーマンをやりながら副業をしているのですが、この度、個人事業主として開業届を出しました。
サラリーマンが個人事業主になるメリット、デメリットや注意点についてまとめたので、本業以外に副収入があり、個人事業主として開業したい人、起業しようと思っている人の参考になれば幸いです。
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サラリーマンやりながら個人事業主になろうと思ったきっかけ
数年前から副業による副収入があり、ずっと自分で確定申告をしていました。本業の給料+副業の収入の合算で所得税と住民税が決まるのですが、今年、税務署からきた住民税が50万円近かったんですね。
で、それをみた妻が「住民税50万円って払いすぎじゃない? 贅沢な海外旅行に行けるよ」って。
そこで税金に関することを調べたところ、個人事業主になったほうが節税できるということが分かったので、開業したという流れです。
ちなみに副業をしていて副収入があるからといって、個人事業主にならなければならないという決まりはありません。そのまま確定申告してもOKです。
また「副収入−副収入にかかった経費=20万円以下」の場合は確定申告をしなくてもOK。20万以上の場合は確定申告が必要です。
私はe-taxではなくて税務署に行って確定申告をしています。事前にエクセルで作った収入と経費表をプリントして持っていき、税務署の係の人と一緒に入力作業をします。混んでいなければだいたい30分くらいで終わります。
では確定申告をする場合、なぜそのまま個人で申告するより個人事業主になったほうが節税できるのか?
サラリーマンで副業をしている人が確定申告をする場合、その副業内容によって所得の種類が変わります。
その種類とは、
- 給与所得(アルバイトなど勤務先から受けとる給料や賞与など)
- 不動産所得(土地や建物などの不動産の貸付けの収入)
- 利子所得(国債や銀行の利子の分配に係る所得)
- 配当所得(株式の配当金や投資信託の収益分配金で得られる所得)
- 退職所得(勤務先から支払われる退職金など)
- 山林所得(山林を伐採、立木のままで譲渡して得られる所得)
- 譲渡所得(土地、建物、株式などの資産を譲渡して得られる所得)
- 一時所得(懸賞や福引きの賞金品、競馬などの一時的な所得)
- 事業所得(小売業やサービス業、その他の事業を営んでいる人の所得)
これに当てはまらないものは雑所得となります。
私がやっているブログからの広告料やアフィリエイト、ホームページ制作やライターとしての原稿料、またネットオークションやせどりなども雑所得になります。
それでこれまで雑所得として確定申告をしていたのですが、これを事業所得として申請すれば様々な制度を利用できるようになるためもっと節税できるんですね。
で、雑所得を事業所得とするには開業届を出して個人事業主となる必要があります。だから開業届けを出したってわけです。
個人事業主になると申告できる事業所得のメリットとは?
では通常の副収入(雑所得)と事業所得の違いは何なのか。
事業所得として申告をすることで5つの制度が利用できるようになります。これが節税に効果あるというわけです。
事業所得 | 雑所得 | |
給与所得等との損益通算 ※副業で赤字が出た場合に、給与所得などから損失を引くことができる | ◯ | × |
青色申告特別控除 ※帳簿による記帳が必要だが所得から65万円控除できる | ◯ | × |
青色事業専従者給与 ※家族や親族への給与を経費として計上できる | ◯ | × |
純損失の繰越控除 ※赤字を3年間繰り越して黒字の金額と相殺することができる | ◯ | × |
30万円未満の少額減価償却資産の特例 ※事業に必要な備品30万円未満までなら購入した年度に一括して経費計上できる | ◯ | × |
ちなみに私の場合、あまり原価がかかる商売はしてないので赤字にはならないし、人を雇う予定もありません。
なので、収入から65万円を控除できる青色申告特別控除と、パソコンなどを買ったときに一括で経費にできる30万円未満の少額減価償却資産の特例がメインかなと。
ちなみに雑所得で申告する場合は、青色申告は使えず控除のない白色申告となります。
売上金額-経費-65万円の控除=収益粗利
税金は収益粗利に対して課税されるので、65万円減らせる青色申告はメリットがあるということですね。
ただし、開業届を出して個人事業主になったからといって事業所得になるとは限らない
ただし注意しなければならないのが、税務署に開業届を出して個人事業主になったからといって、必ずしも事業所得として認められるわけじゃないということ。
一応、事業所得と認められるには以下の基準があります。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得。
その事業とは独立・継続・反復して行われる仕事のこと。
サラリーマンやりながら行なっている副業が何であれ、重要なのは「独立・継続・反復して行われる仕事」という部分かと思います。
なんか曖昧ですが、国がそう認めれば事業所得として扱われ、認められなければ紹介した制度の恩恵は受けられません。
調べてみるとサラリーマンの副業は事業所得ではなく、雑所得として判断されることが多いようですが、どうせ高い税金を支払うならやってみる価値はあるかなと。
私の場合、ここ数年間継続反復しているのでイケるかもしれません。もしダメならダメで諦めますし。
このように事業内容によっては、開業届けを出して個人事業主になったからといって、必ずしも事業所得として扱われるわけではないのでご注意を。
まとめると、雑所得ではなく事業所得として申告することで青色申告などの恩恵を受け、納税額を減らすことができます。
それともう一つ。個人事業主になることによって税金の知識が身に付くこともメリットだと思います。サラリーマンだけをやっていたら、税理士でもない限り税金の勉強なんてしませんよね。
知っておくと得をして、知らないと損をすることだと思うので、それを身をもって学べる点も大きなメリットでしょう。
サラリーマンが個人事業主になるデメリットはあるの?
メリットだけでなくデメリットや注意点もあるので合わせて紹介しておきますね。
副業が会社にばれるリスクがある
サラリーマンで副業されている方で心配なのが、会社にばれないか?ってことだと思います。
未だに副業を禁止している企業も多いですから、個人事業主になって大丈夫か心配な人も多いでしょう。
まず副業が会社にばれる可能性としてあるのが住民税です。これは個人で確定申告しようが、個人事業主になろうがどちらも同じです。
確定申告で住民税を給料から天引きにするとばれるかも
通常、住民税は特別徴収といって会社の給料から天引きされます。
住民税は個人事業主であってもなくても、副業の収入と本業の給料を合算して計算されるため、申告のときに何もしなければ給料から天引きになります。
当然、副業分の収入が増えているわけですから住民税も上がります。例えば、毎月給料から天引きされていた住民税が1万円だったとして、それが副業の収入が増えて3万円になったとします。
給料の計算をする経理や総務の人がそれを見たら「なんでこんなに住民税が増えてるの?」ってなりますよね。これでばれる可能性があります。
自分で納付(普通徴収)にすればOK
でもこれはきちんと対策があって、確定申告書類の住民税の支払い箇所を特別徴収ではなく自分で納付(普通徴収)にチェックを入れればOK。
そうすると会社の給料から合算した住民税は天引きされず、副業分だけの住民税の納付書が6月頃に自宅に送られてきます。
あとはコンビニなどで自分で支払えばOK。私はこれを数年間やっていますが、会社にはばれていません。
副業の赤字にも注意が必要
それともう一つ、個人事業主になると副業で赤字が出た場合に、給与所得から損失を引くことができる制度があります。
もし副業で赤字になった場合、給料から赤字分が引かれるため総所得が減ります。そうすると先ほどとは逆で住民税が安くなりますよね。
わずかな金額なら気づかないかもしれませんが、赤字が大きく住民税がガッツリ引かれると経理の人にばれるかもしれませんね。
まぁ副業OKの会社なら気にする必要はありませんが、禁止されている人は住民税の支払いと赤字、それとSNSや近しい人に言わないように気をつけましょう。
雑所得の白色申告ではかからない個人事業税がかかる
個人事業主のデメリットというか注意点として、個人事業税がかかってくる点もあります。雑所得で白色申告するとかからない税金が、個人事業主になるとかかってくるんですね。
まぁでも雑所得で白色申告するよりも、青色申告で事業所得にして個人事業税を払ったほうがトータル的には安くなると思います。
ちなみに事業所得が290万円以下の個人事業主は納付義務はなく、それを超えた場合に支払い義務が生じます。
クラウド会計ソフトfreeeのホームページで、会社員の年収と副業収入、経費を入力すると個人事業税を計算できるので試してみてください。
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帳簿の記帳や決算書類作成の手間がかかる
事業所得のメリットである青色申告の65万円控除をうけるには、取引きの流れをより詳細に仕訳した複式簿記で記帳しなければなりません。
白色申告だと難しくて手間のかかることをしなくて済むのですが、青色申告だと貸借対照表とか仕訳帳、総勘定元帳、借方、貸方など頭が痛くなるような難しい言葉が出てきます。
まぁこれは節税の恩恵を受けるためには仕方ないことなので頑張るしかないです。
ただ会計ソフトによっては専門的な知識がなくても簡単にできちゃいます。ちなみに私は開業届も帳簿もクラウド会計ソフトのfreee(フリー)を使っていますが、簡単なのでおすすめです。
失業保険が出ない
そもそも失業手当とは、就職したいけど次の就職先が見つからないという人に支給される手当です。
開業届を提出したということは、自分で事業を興したということですから、次の就職先を探す必要はないと判断され失業手当は支給されません。
まぁ当然ですね。
まとめ
サラリーマンが開業届を出して個人事業主になるメリットとデメリット注意点をまとめると、
- 事業所得として認められれば節税できる
- 税金の知識が身に付く
- 会社に副業がばれるリスクがある
- 個人事業税がかかる
- 帳簿の記帳などの手間がかかる
- 失業保険がもらえない
このメリットとデメリットを考えて、個人事業主になる価値があれば開業届を出せばいいし、価値がなければ個人でそのまま副業を続ければいいと思います。
ある程度、副業も軌道に乗って稼げるようになっているのであれば、節税のメリットは大きいので個人事業主になったほうがいいでしょう。
まぁ節税のメリットもそうですが、サラリーマンやりながら自分の事業を興して起業するってのもワクワクするので楽しいですよ。
検討している人はぜひ参考にしてください。
これから開業届を出す人はfreeeがおすすめ
最後に私が開業届の書類を作るときに使った開業freee(フリー)というサービスも紹介しておきます。
開業freeeは仕事内容や屋号など、質問形式に答えていくだけで開業届の書類と所得税の青色申告承認申請書が簡単に作れます。
こんな感じで質問に答えるだけ↓
あとはできた2つの書類を自宅やコンビニで印刷して、マイナンバーの記載と印鑑を押して直接近くの税務署に持っていくか郵送すればOK。
10分もあれば終わります。また提出前なら修正もできるので大丈夫です。
流れとしては、開業freeeで開業届と得税の青色申告承認申請書を作成して税務署に提出する。(ここまでは開業freeeで無料でできます)
↓
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