会社員を辞めて個人事業主(フリーランス)になる前にやっておくべきこと、開業後に必要な手続きや準備についてまとめました。
実際にわたしが開業して個人事業主になるにあたって調べたこと、苦労したことをまとめたのでぜひ参考にしてください。
経験者としてこれから個人事業主になるあなたのお役に立てれば幸いです。
最後のまとめに紹介した項目をPDFデータにして添付しているのでよかったら使ってください。
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会社を辞めて個人事業主になる流れ
まずはじめに会社を辞めて個人事業主になる大まかな流れを見ていきましょう。
最低でも1ヵ月前に会社に退職の意を伝える
↓
退職後、国民健康保険や国民年金などの手続きをする
↓
開業届を出す
↓
個人事業主としてスタート
ざっくりこんな流れです。
退職に関しては会社ごとに就業規則があると思いますが、最低でも1ヵ月前には上司や社長に伝えておきましょう。
あと開業届は会社員であっても提出することができるので、退職前後どちらでもOKです。
個人事業主になる前に準備しておいたほうが良いもの
会社を辞めて個人事業主になる前に準備しておいたほうが良いものをまとめました。
わたしが起業して思ったのは事前準備が大切だということ。
例えば、クレジットカードや名刺、ホームページ作成、会計ソフトの導入など、起業後に必要なものは在職中にできるだけ準備しておいたほうがいいです。
会社を辞めてからそれら開業準備を始めたら時間がかかるし、それをやっている時間は収益が発生しません。
なので、給料がもらえている間にやれることはやっておくべきです。
そして会社を辞めた翌日から個人事業主として活動できるくらいにしておくのがベストでしょう。
それと個人事業主になると税金などお金に関することはすべて自分で管理しなければなりません。知っておかないと損することも多くあるので合わせて紹介します。
クレジットカードの申し込み
個人事業主になるにあたって個人用と事業用の支出は分けておいた方が経理的に楽です。
仕入れや支払いをクレジットカードでする場合は個人事業主用のクレジットカードはぜひ作っておきましょう。
ただしクレジットカードを作るには審査が必要です。会社員であれば借金やカード払いの滞納がなければ割と簡単に作成できますが、個人事業主になったばかりだと審査に通らないことが多いです。
というのも、収入がどれくらいかもわからない事業者にカードを作って、支払いが滞ったらカード会社も損をするわけで。
まだなんの実績もない個人事業主がカードの審査を通過するのは難しいのです。
これが起業して2年、3年黒字であれば問題ないですが。
というわけで、会社員であるうちにクレジットカードは作っておきましょう。
個人事業主におすすめのクレジットカードはこちらの記事で紹介しています。わたしも会社員のうちにイオンカードを作りました。
関連記事:【年会費無料】個人事業主におすすめのクレジットカード3選!
銀口座の開設
クレジットカード作成と合わせてやっておきたいのが事業用の銀行口座の開設です。
会社員の給料が振り込まれていた口座を使ってもいいですが、生活費などとごっちゃになると管理がややこしいのできっちり分けたほうがいいでしょう。
またイチから事業を始めるわけですから、気分的にもまっさらな通帳で始めたいってのもあります。
ちなみにわたしは地銀である宮崎銀行で「屋号+個人名」の口座を開設しました。
もちろん事業用で作ったクレジットカードの引き落とし先もこちらの銀行口座に指定しています。
Webデザイナーなど全国顧客を相手にする仕事なら楽天銀行などのネット銀行でもいいと思いますが、地元をメインにする仕事なら今後の融資のことも視野に入れ、地銀や信用金庫などで口座を作って関係性や信頼を作っておいたほうがいいでしょう。
事業用の印鑑
商売の内容にもよると思いますが、わたしは事業用として4つの印鑑を作りました。
- 屋号+氏名の印鑑:契約書など重要な書類に押す代表者の印鑑
- 銀行印:事業用銀行口座開設用
- 角印:請求書や領収書に押す会社用の認印
- ゴム印:手書きの領収書、封筒や書類に押すための屋号、名前、住所入りのスタンプ印
個人事業主の場合、法人ではなくあくまでも個人なのでこれまで使っていた印鑑を使っても問題はありません。
ただ、これから事業を始めるという意気込みや個人名だけでなく屋号も入れることで箔が付く(貫禄が増す)ので、わたしは作りました。
銀行印も個人用と事業用で分けておいたほうが管理やがしやすいし、別にしたほうがセキュリティ的にも安心です。
「フリーランス 印鑑」で検索すると楽天などで4点セット5,000円くらいの印鑑がたくさんあります。予算をかけたくない人はそれでもいいと思いますが、契約書などで印鑑を使う機会が多い人はもうちょっと高額で品質の良いものが良いと思います。
わたしが実際注文したのはさきほどの4点セットで4万円くらいでした。格安印鑑と比べると高いですが、これから事業を伸ばしていくっていう意気込みも込めてちゃんとした物を作るのもいいと思います。
チタン製なので高級感もありますし、銀行の方からも「ずっしりしていて押しやすいですね」と褒められました。
以下のはんこプレミアム(株)は10年保証もついているのでおすすめですよ。
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ホームページやブログを作る
ホームページやブログはあって当たり前です。自分が何者でどんな商売をしているのか知ってもらうためには必要不可欠なので、ぜひホームページやブログ、SNSも活用して情報発信していきましょう。
ちなみに、わたしはホームページ制作やブログを使った集客などもできるので、お気軽にご相談ください。
名刺やチラシ
名刺やチラシも必需品ですね。起業前であってもセミナー等に参加する際にあったほうがいいので、早めに作っておきましょう。
名刺って挨拶をした相手が100%受け取ってくれる宣伝カードだと思っています。これを活かさない手はありません。
よくありがちな名刺だと次の日には忘れられて終わりです。どうやって相手の印象に残るか、インパクトを与えるかが重要だと思うので、デザインはもちろん、内容もしっかり考えて作りましょう。
わたしはちょっと変わった形の名刺を作ったのですが、渡すときに100%話題になります。ぜひあなたも印象に残る名刺を作ってみてください。
会計ソフト
個人事業主になると自分でお金の管理、確定申告をする必要があります。
売上がいくらで仕入れや経費がいくらで〜、みたいなことも全部しなくちゃいけないので会計ソフトの導入は必須です。
会計ソフトもいろいろあるんですが、わたしのおすすめはクラウド会計のfreeeです。サブスクリプション(月額制)で980円/月から使えます。
パソコンにインストールする弥生会計などは消費税など税制が変わるとバージョンアップしないといけないし、パソコンが壊れたらアウトです。
でもfreeeはクラウドソフトなのでインターネットがつながるパソコンやスマホさえあればどこでも使えますし、データはクラウド上(freeeのサーバー)にあるのでパソコンが壊れても大丈夫。
他のインターネットにつながるパソコンやスマホがあれば同じ状態で使えます。
あと税制が変わっても自動でアップデートされ、いつでも最新を使えるので安心です。
初めての確定申告でも手順通りに進めれば簡単にできますし、業務必要な請求書の発行、銀行口座やクレジットカードとの同期もできます。
個人事業主ってすべて自分で行うため、業務以外の雑務や経理ってなるべく負担を減らしたいじゃないです。freeeはそれができるのでおすすめです。
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関連:会計ソフトが必要な個人事業主の特徴とおすすめ3つを比較紹介
賃貸契約・ローンの手続き
賃貸契約やローンもクレジットカードと同じで審査が必要です。
数年勤めている会社員であればなにも考えなくていいですが、開業したばかりの個人事業主だと実績がない(社会的信用がない)ので難しいです。
事務所を借りるとか、ローンで買い物をする場合は会社員のうちに手続きをしておきましょう。
地元自治体の補助金や助成金を確認する
各自治体で起業する人を応援する取り組みを行っているところがあります。
事業拠点となる区・市役所、商工会議所のホームページなどを確認してみてください。
ちなみにわたしが住む地域の商工会議所では、創業支援として創業に必要な資金の3分の2、上限100万円までを支援してくれます。
例えば、150万円だったら100万円、90万円だったら60万円まで支給されるという感じですね。
これってかなり助かるのでぜひ調べてみてください。
相談できる相手や未来の顧客を見つけておく
わたしの地元では起業セミナーや勉強会が頻繁に行われています。さきほど紹介した創業補助金も受給資格としてセミナーを受講する必要があります。
そのなかで事業計画書を作ったりするのでしっかりと計画を練れる、相談できるというメリットもあります。
商工会議所の担当者や金融機関の担当者と仲良くなっておくと、いざというとき相談できるのでなるべく顔を出したおいたほうがいいです。
また起業セミナーや勉強会って起業したい人が集まっているので、そういった人をターゲットにできる事業であれば未来の顧客を作るという意味でもつながりを持っておいたほうがいいし、同期の経営者として悩みを相談しあえる仲間を見つけておくのもいいでしょう。
事前に創業にいくら必要なのか試算しておく
事業を始めるにあたってどれくらいの資金が必要なのかきちんと試算しておくことも大切です。
これから自分で経営していくわけですからどんぶり勘定ではダメです。
ちなみにわたしが創業時に購入したものは、
- 印鑑
- パソコン、プリンター
- 名刺、チラシ代
- 机、椅子
- 収納ラックや文房具など
- スーツや靴
- 営業車など
創業補助金をもらうために見積もりが必要だったのでいくらかかるか試算しました。
補助金の有無にかかわらず、自分が始める事業って何にいくら必要なのか明確にすることは大切なので試算しておきましょう。
これから事業を始めるってことは収支の管理は全部自分になるわけですからね。その練習としてぜひ。
- クレジットカードの申し込み
- 銀口座の開設
- 事業用の印鑑
- ホームページやブログ、SNSアカウント
- 名刺やチラシ
- 会計ソフト
- 賃貸契約・ローンの手続き
- 補助金や助成金の確認
- 相談できる相手や未来の顧客を見つけておく
- 創業に必要な資金の試算
会社を辞めた後に必要な手続き
ここからは会社を辞めた後に必要な手続きの紹介です。
特に国民健康保険については事前にこれから支払う保険料を把握しておいたほうがいいので、辞める前に調べておくことをおすすめします。
市町村役場で国民健康保険の加入手続きをする
サラリーマンやってるとこの辺の知識がまったくなくて理解するのに大変でした。
簡単に説明すると、会社員は健康保険(社会保険)で個人事業主は国民健康保険になります。
会社員を辞めて個人事業主になる人は健康保険は加入できなくなるので、国民健康保険への切り替え手続きを行わなくてはなりません。
退職後に会社から「健康保険・厚生年金保険被保険者資格等取得(喪失)連絡票」をもらい、それと身分証明書を持って市町村役場に行って手続きをしてください。
国民健康保険を手続きする前に、保険料がいくらなのか調べておいたほうがいいです。
健康保険だと給料から天引きさるのでいくら支払っているか意識することはないと思いますが、国民健康保険は自分で支払わないといけない、また年収によってその料金も変わってくるのでしっかり意識しておいたほうがいいです。
わたしも試算したらめちゃくた高かったので気をつけてください。詳細は以下で説明します。
国民健康保険は年収によって保険料が変わる
国民健康保険は前年度の年収によって支払額が決まるので、会社員としての年収が高く、個人事業主になって初年度の所得が低いと支払いがきついです。
国民健康保険は市役所に電話をすればだいたいの料金を教えてもらえるので確認してみてください。
ちなみにわたしの場合は年間約58万円、扶養する子供2人分が3万8000円×2で、合計約65万/年ほどでした。
これを12で割ると毎月の国民健康保険料は55,000円ほど。
個人事業主になってすぐに収入が見込める人はいいですが、初年度から毎月保険代だけで55,000円はきついです。
なので、事前に国民健康保険料がいくらになるか把握し、貯金なりしておいたほうがいいでしょう。
ちなみに保険料だけで毎月55,000円は高いので安くする方法はないか調べたところ、個人事業主が健康保険の加入する選択肢は3つあることがわかりました。
それは、
- 普通に国民健康保険に加入する
- 国民健康保険組合に加入する
- 健康保険を2年延長する
これらすべての保険料を試算して一番安いものに加入するといいでしょう。
通常の国民健康保険については上記の通りなので、国民健康保険組合と健康保険の2年延長について説明します。
国民健康保険組合に加入する
国民健康保険組合とは、国民健康保険法に基づき同種同業による組合員で組織された保険です。
同種同業とあるように職業によって加入できる組合が分かれています。ちなみにWebデザイナーやイラストレーター、クリエイターの場合は「文芸美術国民健康保険」という組合になります。
国民健康保険組合の特徴は、所得関係なく保険料が一律で決まっているということ。つまり年収が高かろうが低かろうが支払う保険料は一緒です。
だから前年度の年収が高い人は国民健康保険よりもお得になる可能性が高いってことですね。
ちなみに文芸美術国民健康保険の保険料は、19,600円/月、扶養家族1人につき10,300円/月となっています。
わたしの場合だと扶養家族(子供)が2人いるので、
19,600円+10,300円+10,300円=40,200円
国民健康保険の55,000円よりは安くなります。ただやはり扶養家族がいると高くなりますね。
健康保険を2年延長することもできる
国民健康保険と組合どちらも高いって人はあともう一つ、健康保険任意継続制度を検討してみるのもアリです。ちなみにわたしはこれにしました。
健康保険任意継続制度とは会社員のときに加入していた健康保険を最長2年間延長できるというもの。
ただし会社員時代に支払っている健康保険料は会社が半分負担してくれているのですが、延長すると全額自己負担になります。
給料明細を見て天引きされている健康保険を2倍した料金が、延長後に支払う保険料となります。
つまり2倍した金額が国民健康保険や組合よりも安ければ延長する価値があるということですね。
手続きに関しては退職後20日以内に、退職後に会社からもらう「健康保険・厚生年金保険被保険者資格等取得(喪失)連絡票」と使っていた健康保険証を添付して、必要書類と共に協会けんぽに郵送する必要があります。
「地名 協会けんぽ」で検索するとホームページが出てくるので、電話をして必要書類を送ってもらいましょう。
- 普通に国民健康保険に加入する
- 国民健康保険組合に加入する
- 健康保険を2年延長する
全ての保険料を試算して一番安いものに加入する。
市区町村役場で国民年金の加入手続きをする
健康保険と合わせて手続きが必要なのが年金です。会社員の厚生年金保険から個人事業主は国民年金保険へと切り替わります。
退職後14日以内に年金手帳を持って住所地の市区役所または町村役場で手続きを行ってください。
国民年金の保険料は、毎年度見直しがおこなわれますが、現時点では16,410円となっています。
ちなみに付加年金というものもあって、国民年金の保険料に追加で400円を上乗せすることで受給する年金額を増やすことができます。たった400円なのであわせて加入しておくのがおすすめです。
補足ですが、国民年金保険料は確定申告で全額が社会保険料控除の対象となるので節税になります。
年金って自分たちが高齢になったときにはもらえないとか、2,000万円足りないとか言われてますが納めておいたほうが安心です。
会社員から個人事業主になると、国民健康保険と国民年金が高いと思いますが、会社を辞めて独立を決めたのは自分です。頑張って稼いで納めるしかありません。
自分にも言い聞かせてますが、それで生活できないような収入しか得られないのなら起業が向いていない、事業のビジネスモデルが甘いのかもしれません。
厳しいですが、自分で稼いて食べていくってそういうことなので、しっかりやっていくしかないですね。
税務署に個人事業主の開業届を出す
開業届の提出タイミングは事業開始から1ヶ月以内に提出するとされていますが、事業開始の時期はそれぞれなので退職前でも後でもいいでしょう。
会計ソフトで紹介したfreeeだったらすぐに書類が作れるので、それを印刷して税務署にもっていけば5分くらいで終わります。
会計ソフトを使わない人は税務署に行けば職員が教えてくれます。そのときに印鑑も忘れずに。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告は帳簿をつける代わりに所得から65万を控除できるというメリットがあります。つまり経費として65万円を売上からマイナスできるので支払う税金を減らせるってことですね。
青色申告承認申請書は開業から2ヶ月以内に提出する必要があるので、忘れないよう開業届と一緒に出しておきましょう。
青色申告承認申請書もfreeeなら簡単にできますよ。
再就職手当、失業保険
退職してすぐに開業届を出して事業を始める人には使えませんが、少し期間をあけて事業を始めるって人は失業保険や再就職手当をもらうといいでしょう。
ちなみに失業保険は、離職前にもらっていた給与の日当を算出し、この日額の50〜80%を基本手当としてもらえる保険です。
ただし失業保険はあくまで失業中にもらえる保険なので、その期間に収入がある場合はもらえません。
退職後すぐに事業を始める、収入がある場合は再就職手当のほうがいいと思います。
こちらは個人事業主であっても正当にもらえる手当なので可能な人はもらっておいたほうがいいです。
再就職手当をもらう流れとしては、
- 退職後に会社から離職届をもらってハローワークで求職申し込みをする
- 雇用保険の説明会へ参加する
- 説明会でもらう失業申告認定書を持ってハローワークに行く
- 開業届を出す
- 開業した旨をハローワークへ伝える
- 審査後、受給
ここで重要なのが開業届を最初に出してはいけないということ。退職後にハローワークに行って、その途中で開業届を出さなければなりません。
再就職手当なので、最初に開業届けを出してしまうとすでに就職済みで再就職とはならないからです。
退職前でも後でもいいのでハローワークに相談に行ってみてください。そのときに「個人事業主をしている」ではなく「個人事業主になろうか迷っている」と伝えるといいでしょう。
まとめ | 開業準備チェックリスト
会社員を辞めて個人事業主になる前にやっておくべきこと、退職後に必要な開業等の手続きについて紹介しました。
紹介した項目をチェックリストにしたのでよかったら使ってください。
国民健康保険など事前に知っっておいたほうがいいこともありますし、退職後に準備している間は収入が発生しないわけですから、なるべく在職中に出来る限りのことはやっておいたほうがいいです。
わたしは40歳で脱サラしフリーランスになりました。会社員と比べて大変なこともありますが、それ以上に楽しみややりがいのほうが大きいです。
ぜひあなたもがんばってください。同じ個人事業主としてこれからの活躍を願っております。
起業に関することはこちらのブログにも書いているのでご覧ください。
40代で脱サラ起業して人生を変えたブログ